お知らせ

低温濃縮装置が電池の開発に使用されました

つくばにある国立研究開発法人物質・物性研究機構NIMSの魚崎研究室で低温濃縮装置が採用され、電池の開発に使用されています。 2022年3月に弊社の低温鶯宿装置(NIT-P-3R)をお納めいたしました。これは従来の低温濃縮装置を一部改造しより長時間に使用できるようにしたもので、魚崎浩平先生は On-line cold trap pre-concentrator(CTPC)―GC/MSとして、使用していただきました。 この研究成果が英国化学会誌(2023,2月)に掲載されました[1]。

魚崎浩平先生のグループは、リチウムー酸素バッテリーの充放電時におけるガス成分を低温前濃縮装置:(CTPC)-GC/MSを用いて、15秒間のサンプリングでGC/MSのデーターを採集され、これを繰り返して、ガス成分の変化を長時間測定されました。 リチウムー酸素電池のガス成分に含まれている37化学成分を検知され、この中には新しく見いだされた12化合物が含まれていました。 この成果は、英国化学会誌に発表されました[1]。

リチウムー酸素バッテリーにおけるガス成分の中の発生化合物について40分ごとに15秒ガスサンプリングを26時間に渡って連続的に分析し、発生化合物の経時変化をとらえられました。 それらの化合物の変化が生じる過程や雰囲気中での変化のスキームを提案されています[2]。

論文題名と著者
[1]Real Time Monitoring of Generation and Decomposition of Degradation Products in Lithium Oxygen Battery during Discharge/Charge Cycles by Online Cold Trap Pre-concentrator–Gas Chromatography/Mass Spectroscopy System, Yanan Gao, Hidenori Noguchi and Kohei Uosaki 、英国化学会誌 RSC Advances 13(8):5467-5472、2023, DOI: 10.1039/D2RA07670E
[2]Online Real-Time Detection of the Degradation Products of Lithium Oxygen Batteries, Yanan Gao, Hidenori Noguchi and Kohei Uosaki, ACS Energy Lett, 2023, 8, 1822-1817

ピコデバイスについて

名古屋工業大学ベンチャーとして設立し、同大学インキュベーターで2年間、ついで学外の名古屋医工連携インキュベーターへ移り、現在は名古屋工業大学、名古屋大学が見える見晴らしの良いビルに入居しています。皮膚ガスの発見、汗の成分測定は、大学在職時に始め、現ピコデバイスで商品化及び共同研究を実施しています。

ピコデバイスの事業

ピコデバイスは、人体の体表から発せられる皮膚ガスに関する知見・技術を基礎として、人の生理現象を解明しヘルスケア分野の発展に貢献します。ガスの分析・測定を始めとする基礎的・学術的な活動から、測定装置の開発・商品化といった応用までを一手に担っています。

共同研究や生体ガス関連のプロジェクト支援、コンサルティングなど、随時受け付けております。お気軽にお問い合わせ下さい。

ピコデバイスの事業
皮膚ガス
香り
分析・測定
動物
ガス分析・生体解明
デバイス開発・商品化

皮膚ガス

ヒトからはさまざまなガスが出ています。皮膚ガスは健康状態に反映されます。疲れますと、アンモニア(疲労臭)、アセトンなどが増加し、疾病マーカの探索に用いられます。例えばパーキンソン病の判別を実施しました。糖尿病ではアセトンが多く出ます。将来は血糖値が皮膚ガスから推定出来るようになります。

事例
一酸化窒素 (NO) 測定器の開発

一酸化窒素は、身体の中で血管拡張の役割を担っています。一酸化窒素は身体から放出されており、特に指や身体の中などで血管が集まっているところは、高い濃度で放出されます。呼吸器の疾患や炎症などにより増加するといわれています。血圧との関係が推定されます。

皮膚ガス・呼気用 ppb-NO(一酸化窒素)測定器を発売しています。化学発光による検出を用いており、10ppbまでの高感度で測定出来ます。また試料は最小5mlまで測定可能です。

装置外観
事例
アセトン測定器の開発

アセトン・エタノールは身体から放出されており、皮膚ガスの主成分の一つです。アセトン・エタノールは疲れると増加するといわれています。

皮膚ガス GC式 アセトンモニターを発売しています。測定にガスクロマトグラフの基本システムを併用しているので正確です。本器の出力は電圧出力、及びデジタル出力の双方に対応できます。

装置外観

汗は身体表面に現れる最も基本的な生理現象の一つです。極微量の発汗は熱中症の基本因子ですので、体の調子の判別に用いられています。また、「ストレス評価」などの応用があります。

事例
発汗測定のウェアラブル化

従来の発汗測定方法は身体に装着したプローブと据え置きの測定装置をチューブで接続するため、移動中や運動中の測定が困難という問題がありました。

ウェアラブル発汗計は発汗測定に必要な要素である送風・汗(水蒸気)の採取・発汗量のセンシングおよび体温を測定し、ついでその測定結果の無線出力までの全てを1台のウェアラブルデバイスに搭載しています。これにより、これまで困難であった運動中の発汗状況や運動後の持続的な発汗を捉えることが出来ます。

装置外観

香り

心地良い香りをもたらす電子デバイスを開発・提案しています。

事例
持ち運び可能なアロマファン

ポケットミニアロマファン~香風~は、本来部屋に設置して香りを楽しむ道具であるアロマファンを手のひらサイズまで小型化したものであり、持ち歩いてどこでも香りを楽しむことが出来ます。また、口腔や食道にアロマを含むことが出来ます。

装置外観

分析・測定

人体や住環境に存在する様々なガスの分析依頼を受け付けています。

事例
極微量ガスの濃縮を実現

汗・ヒト皮膚ガス・シックハウス等のガスの成分測定受託及びコンサルタントを行ないます。(例: 大気ガス、呼気ガス、ヒト皮膚ガス、室内空気、車内空気、建築資材などからの放出ガス)

NIT-P型皮膚ガス/微量VOC濃縮装置を発売しています。NIT-P型は、15秒~2分間の短時間濃縮で、100~2000倍の低温濃縮が可能です。また、温度は-50℃~-193℃まで設定出来ます。他社市販装置と比較して、非常に迅速で安定であり、GC、GC/MSとオンラインワンステップで分析測定が実施できます。

実施例

動物

動物が発するガスについて調べています。ラットの尾から皮膚ガスを採取するデバイスを作りました。モデル実験が効果的に出来ます。また、さまざまな動物への拡張が可能です。

事例
ラットから発生するガスの測定

写真の筒にラットを入れ、尾っぽに袋をかぶせ、尾っぽから発生する皮膚ガスを採取、測定します。必要に応じて内部に清浄空気を流すことが出来ます。

ラットの皮膚ガス採取器具