Pico Flow Monitor

装置外観
装置外観
  • リアルタイムで微量送液の測定が可能
  • 液体に接触しないダイレクトモニター方式
  • 流量データをPCに取り込み可能

流量モニタリング装置として毎分ピコリットル、ナノリットル、マイクロリットルの流量範囲を精度良くくり返し測定できるピコフローモニターです。この流量モニタリング装置は、第一にキャピラリー液体クロマトグラフィーへの適用を目指していますが、この装置はいろいろな分野で使用できます。

クロマトグラファーにとって微小流量モニタリングは必要

液体クロマトグラフのカラム流量は分離された試料成分の保持時間に直接的に関連いたします。クロマトグラフィーではこの保持時間がピーク同定の基本情報でありますので、もし流量が変動すると保持時間が変動いたしますと、試料成分の同定が不確定になります。

例えばミクロ・キャピラリーカラムの流量はμl/minからnl/minがよく用いられます。この流量変化を測定し流量の安定さと保持時間の信用性を増す必要があります。すなわち、カラム出口側における連続的な流量モニタリングはミクロ・キャピラリーLCシステムにとって、必須の装置です。

適用分野

流量測定: 毎分マイクロリットルからピコリットルまで、液体ポンプ、燃料電池、マイクロTAS、液体クロマトグラフィー (LC) 、質量分析計との結合 (LC/MS) 、キャピラリー電気泳動

測定原理

ピコ流量モニターの構成
ピコ流量モニターの構成

ピコ流量モニターの構成を示しました。微小口径をもつ溶融石英キャピラリー管(内径10~100μm)を流量測定用の中空管として用います。

  1. A点を極部加熱します。
  2. A点の極部加熱により生じた管内流体の物性変化はゾーンとして流れていきます。
  3. 物性変化のゾーンは、管中を移動してB点に到ります。このB点でこの物性変化を信号として捕らえます。
  4. 測定を連続的に多数回行い、流量の時間変化の信号を得て、これに基づいて試料保持時間の流量測定に基づいた補正信号、ポンプ作動への補正信号が得られます。

AB間を10ミリ程度にすることにより、毎分マイクロリットル、ナノリットル、ピコリットルの測定が可能になりました。毎分ナノリットルの流量では測定変動は2%以下で、今後この誤差は改良を加えて、更に小さくできるでしょう。

仕様

流量範囲
測定間距離 10mm
  1. 75 μm: 80.0~2500 nl/min
  2. 100 μm: 200~4000 nl/min
  3. 150 μm: 700~9000 nl/min
測定間距離 6mm
  1. 75 μm: 50.0~1400 nl/min
  2. 100 μm: 120~4000 nl/min
  3. 150 μm: 300~5600 nl/min
注: 2点間測定に必要とする時間を約2秒から40秒とした場合の値
PCインターフェース RS-232C(PC上にエクセル流量情報を取得可能)
対象液体 光の透過する液体、沸点40~150 ℃
例: エタノール、メタノール、水、アセトニトリル及び混合液体(その他の液体についてはお問い合わせください。)
液晶モニター表示 流量表示 (nl/min)
精度 100 nl/min において標準偏差2%以下(相関係数R2=0.99)
圧力 0.1~0.3 MPa (1~3 kgf/cm2)
接続 1/32インチ 樹脂製スクリュウ(例: PEEK スパータイトフィティング)
電源 AC100V

注意事項

ピコフローモニターはヒューズドシリカキャピラリー管(溶融石英キャピラリー管)内を流れる流体に極微小時間・局所的に加熱を与え、流体中に極微小の気泡を発生させる方式です。したがって、セル内では加熱ワイヤーが極微小時間高温に過熱されますので、ご注意ください。

セル内は極微量の液体がキャピラリー内部を通過していますので、内部での液漏れが疑われるときは、チェックいたしますので、販売元または製造元へご連絡ください。また本測定で得られるフローモニター値はあくまでも見かけの値で正確な校正をした値ではありません。

流量値は測定に用いたキャピラリー管の精度、管内の圧力、環境温度などに支配されます。キャピラリー管の精度に関しましては、出荷の際にテストしております。